小1が「きゃ・っ・ー」を書けない…拗音・促音・長音をやさしく教えるコツ

小学校1年生

ひらがな46文字はせっかく書けるようになったのに、「きゃ」「がっこう」「おかあさん」になると、急に手が止まってつまずく。「どうして急に?」と戸惑っていませんか。せっかく覚えたのに逆戻りしたみたいで、不安になりますよね。

まず、安心できる結論からお伝えします。「きゃ(拗音)」「っ(促音)」「ー・う(長音)」でつまずくのは、とても自然なことです。 これらは46文字とはまったく別ルールの「特別な音」だからです。普通のひらがなが書けるようになっても、これらがすぐに書けなくて当たり前。コツは、目で覚えさせるよりも、「耳」と「手拍子」で、音のかたまりを体ごと感じさせることにあります。なぜ難しいのか、どう教えればいいのかを、順番にお話ししますね。

なぜ「きゃ・っ・ー」は難しいの?

ひらがなは、基本的に「1つの音に、1つの文字」で対応しています。「あ」は「あ」、「か」は「か」。とてもシンプルです。ところが、特殊音節はこのルールから外れてしまいます。

拗音の「きゃ」は、2文字書くのに、音は1つ。促音の「っ」は、文字としては書いてあるのに、音は「詰まる」だけで、声には出しません。長音の「ー・う」は、「おかあさん」「とけい」「おとうさん」のように、伸ばす音をどう書くかが言葉によって変わります。つまり、どれも「聞こえたとおりに書けない」のです。だから子どもは混乱します。これは理解力が足りないのではなく、ルールそのものが特殊なだけなのです。

その土台になるのが、「が・っ・こ・う」と、言葉を1音ずつに分けてとらえる力です。これは「音韻意識」と呼ばれる力で、これが育っている途中だと、どこに「っ」が入るのかが分かりにくくなります。そして、この力は机の上の勉強ではなく、遊びの中でこそ、ぐんぐん育てられます。

つまずきは「3つの関門」に分けて考える

特殊音節とひとくくりにすると難しく感じますが、実は3つの関門に分かれています。お子さんがどこで止まっているかを見分けると、教え方がはっきりします。

関門種類よくあるつまずき教え方の軸
①小さい字拗音(きゃ・しゅ・ちょ)「きや」と大きく書く小さい仲間の”居場所”をお話で決める
②つまる音促音(っ)「がこう」と書いて抜かす手拍子で”詰まる1拍”を体で感じる
③のばす音長音(ー・う・い)「おかーさん」など書き方を迷うよく使う言葉をかたまりで覚える

どの関門も、書いて覚えさせるより先に、音のかたまりを体で感じることから始めると、すっと入っていきます。

いちばん効くのは「手拍子で音を数える」

3つの関門に共通して効くのが、手拍子で「音の数」を数えることです。言葉を言いながら、1音ごとに手を叩きます。「が(パン)・っ(パン)・こ(パン)・う(パン)で、4つ!」という具合です。

このとき、「っ」のところでも小さく手を叩くのがポイント。「声にはならないけれど、ちゃんと1拍ある音」だと体で感じられて、促音を理解する土台になります。長音は、伸ばすところで手を横にスーッと流すと、「ここで音をのばすんだ」と分かります。拗音は、「きゃ」の「ゃ」が小さいことを、「ちっちゃい『や』はね、お兄ちゃんの『き』にくっついているんだよ」とお話にしてあげると、大きい字と小さい字の区別がついていきます。

関門ごとに、もう少しくわしく見ていきましょう。促音「っ」を「がこう」と書いてしまう子には、手拍子で詰まる場所を感じさせて、「ここで“ぐっ”と詰まるね、その詰まりが小さい『つ』なんだよ」と教えます。拗音を「きや」と大きく書いてしまう子には、「小さい仲間(ゃ・ゅ・ょ)は、お部屋の右下にちょこんと座るんだよ」と、書く位置をお話で決めてあげます。長音はルールが複雑なので、一字ずつ理屈で教えるより、よく使う言葉をまるごと覚えてしまうのが近道です。

長音は、親が「規則」を知っておくと安心

長音について、もう少しだけ親の側の予備知識があると安心です。じつは伸ばす音には、ゆるやかな規則があります。すべてを子どもに説明する必要はありませんが、親が知っておくと、聞かれたときにあわてず返せます。

伸ばす音書き方の傾向
「お」の段をのばす「う」と書くことが多いおとうさん・こうえん・がっこう
「え」の段をのばす「い」と書くことが多いせんせい・とけい(例外:おねえさん)
カタカナの言葉「ー」(音引き)を使うケーキ・テレビ

「お」の段は「う」、「え」の段は「い」。この大まかな傾向を頭に入れておくと、「なんで『お』じゃないの?」と聞かれたときに、落ち着いて答えてあげられます。とはいえ例外もあるので、迷う言葉は「これはこう書く言葉なんだよ」とかたまりで覚えてしまうのがいちばんです。

遊びにすると、音韻意識が育つ

特殊音節の土台になる「音を分ける力」は、遊びでぐんぐん育ちます。手拍子しりとり、言葉を逆さまに言う「さかさ言葉」、お風呂で「『がっこう』は何回叩く?」と数える音数クイズ、絵本や看板から「小さい字さがし」。どれも机に向かわず、楽しく音感覚を育てられます。

書き間違えたときの返し方も大切です。やりがちな声かけを、少し変えてみましょう。

ついやりがちな声かけこう言いかえる
「また『っ』が抜けてる!」「おしい! “がっこう”、手拍子してみようか」
「なんで『きや』なの、小さい『ゃ』でしょ」「ちっちゃい『や』は、右下にちょこんと座るんだよ」
「ちゃんと聞いて書きなさい」「いっしょに声に出して、何回叩くか数えよう」

叱るより、音を数え直すほうが、ずっと早く正しい形にたどり着きます。これらの音は、読むときにもつまずきやすいので、音読でゆっくりつっかえても、まったく心配いりません。書きと読みは、セットで少しずつ慣れていくものです。

以前、「『がっこう』をどうしても『がこう』と書く」という子がいました。何度書き直させても直らなかったそうです。そこでお風呂で「がっこう、何回手を叩くかな?」と、「っ」のところでも一緒にパンと叩いてみたところ、「あ、ここで止まるんだ!」と本人が気づき、次の日から書けるように。目で覚えるのではなく、耳と手で「詰まる1拍」を感じたことが、決め手だったのです。

手拍子で練習しやすい「身近な言葉」

特殊音節は、知らない言葉より、毎日使うなじみの言葉で練習するほうが、楽しく身につきます。手拍子の練習に使いやすい言葉を、関門ごとに少しあげておきます。お子さんの好きなものに合わせて選んでみてください。

関門練習しやすい言葉
拗音(小さい字)きゃべつ・しゃぼん・おもちゃ・きょうりゅう・でんしゃ
促音(つまる音)がっこう・らっぱ・きって・しっぽ・なっとう
長音(のばす音)おかあさん・おとうさん・おねえさん・とけい・こうえん

ポイントは、1日にたくさんやらないこと。1回に1つか2つの言葉を、お風呂や寝る前など決まった場面で手拍子するだけで十分です。「今日の手拍子ことば」を1つ決めて、親子の合言葉のように遊ぶと、無理なく続きます。書けたら、その言葉を使って短いお手紙やメモを書いてみると、「覚えた音が役に立った」という実感につながります。

書きと読みは、セットで慣れていく

特殊音節は、書くときだけでなく、読むときにもつまずきやすい音です。「がっこう」を「がこう」と読み飛ばしたり、「きゃ」をなめらかに読めなかったり。でも、それは当たり前のこと。書きと読みは別々に練習するものではなく、セットで少しずつ慣れていくものです。

音読でつっかえても、「ここ、手拍子してみようか」と、書くときと同じように音を数えてあげれば大丈夫。読みと書きの両方で同じ「耳と手拍子」を使うと、子どもの中で音とかたちがつながりやすくなります。あせらず、読みも書きも、同じ遊びの延長で育てていきましょう。

よくある質問

Q. 46文字は書けるのに特殊音節でつまずきます。逆戻りでしょうか?
A. 逆戻りではありません。拗音・促音・長音は、46文字とは別ルールの「特別な音」です。普通のひらがなが書けるようになってから出会う、もうひとつの関門なので、すぐ書けなくて当たり前。土台はちゃんとできています。

Q. 何度書かせても「っ」を抜かします。練習が足りないのでしょうか?
A. 書く量の問題ではなく、「音を分けて感じる力」が育つ途中だからです。書かせるより、手拍子で「っ」のところも一緒に叩いて、詰まる1拍を体で感じさせてあげてください。音が分かれば、書くのは自然とついてきます。

Q. 長音の「う」と「お」を、よく間違えます。
A. 長音はルールが複雑なので、一字ずつ理屈で教えるより、よく使う言葉をまるごと覚えるのが近道です。「おとうさん」「おかあさん」など、毎日使う言葉から、かたまりで覚えていきましょう。親が「お段はう、え段はい」という傾向を知っておくと、聞かれたとき安心です。

Q. 「は・を・へ」も書き間違えます。これも同じ仲間ですか?
A. 「は・を・へ」は、特殊音節とは別の「助詞(くっつき言葉)」の話で、教え方が少し変わります。音と書き方がずれるという意味では似ていますが、こちらは文の中での使い分けがポイント。気になるときは、助詞の「は・を・へ」をやさしく教える方法を、別のページでくわしくお話ししていますので、そちらを参考にしてくださいね。

特殊音節は「耳・手拍子・かたまり」で

「きゃ・っ・ー」が書けないのは、46文字とは別ルールの、特別な音だからです。小さい字、つまる音、のばす音という3つの関門を、書いて覚えさせるより、手拍子で音を分け、耳で感じ、よく使う言葉はかたまりで覚える。これが、いちばんやさしい近道です。

普通のひらがなが書けているなら、土台はもうしっかりできています。あとは、特別ルールに、遊びの中で少しずつ慣れていけば大丈夫。「どうして急にできなくなったの?」と心配になりますが、それは新しいルールに出会ったばかりだからにすぎません。今日は、お子さんの好きな言葉をひとつ選んで、「これ、何回手を叩くかな?」と一緒に音を数えてみてください。音が分かれば、書くのはぐっとラクになります。焦らず、楽しくいきましょうね。

ひらがなのつまずき全体を見渡して、ほかの入り口も確かめたいときは、どこから手をつければいいかを整理した入り口ガイドも読んでみてくださいね。