小1で国語の授業についていけない…「わからない」と言えない子の本音と親の動き方

小学校1年生

「うちの子、授業についていけているのかな」「教室で、ひとりぽかんとしているんじゃないか」。連絡帳やテストを見るたびに、その不安がじわじわ大きくなっていませんか。先生に聞くべきか、でも大げさかもしれない。そうやって、誰にも言えずに胸の中でぐるぐるさせているお父さん・お母さんは、本当に多いです。

先に、いちばんお伝えしたい結論を。小1で授業についていけないと感じる子の多くは、「能力が低い」のではなく、「教室というペースに、まだ体が慣れていない」だけです。そして本当に気をつけたいのは、ついていけないこと自体より、子どもが「わからない」を言えずにひとりで抱え込んでしまうこと。この記事では、授業のどの場面でつまずいているのかを見つける方法から、家でできる立て直し、先生への伝え方までをご案内します。学校に乗り込む前に、まずおうちでできることから始めていきましょう。

「ついていけない」の正体は、能力ではなく「ペースのズレ」

学校の授業は、35人前後の子に向けて、同じ速さで一斉に進みます。これは、早生まれの子、じっくり考えたい子、ついこの前まで文字を知らなかった子にとっては、少し速すぎることがあります。つまり「ついていけない」の正体は、その子のペースと授業のペースがズレているだけ、という場合がとても多いのです。これは劣っているということではありません。家庭でその子のペースに合わせて補ってあげれば、ちゃんと追いついていきます。

もうひとつ知っておいてほしいのが、小1の前半は、勉強の中身そのものより「45分すわる」「先生の指示を聞く」「ロッカーや持ち物を管理する」といった、学校生活そのものに慣れることに大量のエネルギーを使っているということ。脳の力の大半がそちらに向いているので、勉強の吸収が後回しに見えるのは、ごく自然なことです。前半でつまずいて見えても、生活に慣れた後半でぐんと伸びる子は、本当にたくさんいます。

国語の授業は「4つの流れ」でできている。どこでこぼれてる?

「ついていけない」と一口に言っても、授業のどの場面でこぼれているかは子によって違います。国語の授業は、ざっくり4つの流れでできています。お子さんはどこで水がこぼれていそうか、当たりをつけてみてください。

授業の流れこぼれているサイン家での支え方
①聞く(先生の指示・説明を聞く)「次、何するの?」と毎回分からない/指示が通らない家でも指示は短く一つずつ。「聞けたね」を増やす
②写す(板書・ノートを書く)書くのが遅く、写し終わらないうちに次へ進む書く量より「読めた」を優先。家で写す練習は1行で十分
③読む(音読・本文を目で追う)今どこを読んでいるか見失う/拾い読み指でなぞりながら一緒に読む。追い読みで支える
④出す(発表・プリントに書く)当てられると固まる/プリントが白紙家で「言えたね」を増やし、答える練習を安全な場で

たいていの子は、この4つのうち1つか2つでつまずいています。たとえば「①聞く」でこぼれている子に、家で読み書きのドリルをやらせても効きません。必要なのは「短い指示を一つずつ通す」練習です。逆に「③読む」でこぼれているなら、追い読みで流暢性を支えるのが先。どの流れでこぼれているかが分かれば、家での手の打ちどころが、ぐっと絞れます。

いちばんこわいのは「わからないと言えない」こと

ついていけないこと自体よりも、子どもが困っているのを隠してしまうほうが、長い目で見ると心配です。子どもが「わからない」を言えない裏には、その子なりの精一杯の本音が隠れています。

言えない本音子どもの心の中親ができること
怒られると思っている「言ったらがっかりされる」「分からないって言えたら花マル」と先に伝える
何が分からないか分からない「もやもやするけど説明できない」教科書を一緒に開き「どのページ?」と具体に落とす
恥ずかしい「みんなの前で手を挙げられない」家を、安心して間違えられる練習の場にする

だからこそ、家庭が「わからないと言っていい場所」になることが大切です。お子さんが小さな「分からない」を口にできたら、その中身を直す前に、まず言えたこと自体をほめてあげてください。「わからないって言えたの、すごいね。わからないって言える子が、いちばんかしこくなるんだよ」。こう返してあげると、子どもは少しずつ、隠していた本音を出してくれるようになります。

親ができる、おうちでの動き方

正面から「授業、ちゃんとわかってるの?」と聞くと、子どもは身構えて口を閉じます。おすすめは、お風呂や寝る前のリラックスした時間に、横に並んで雑談のように聞くこと。「今日の国語、どんなことやったの?」「へえ、どんなお話だった? ママにも教えてよ」と、教える側に立たせてあげると、ぽつぽつ話してくれます。そうやって流れで教科書を一緒に開き、「今日はどのページだった?」とつまずきの場所をそっと確認します。何につまずいているのか(聞くなのか、読むなのか、書くなのか)が見えれば、打つ手も見えてきます。どの力のつまずきかは、つまずきサイン7つのチェックリストが見分けの助けになります。

そして、授業で自信をなくしている子にいちばん効くのが、家で「できた!」をひとつ作ることです。教科書の音読をたった1行だけ、ひらがなをたった1文字だけでかまいません。「ここ読めたね」と小さな成功を一緒に喜ぶ。その積み重ねが、教室での安心感につながっていきます。逆にやってはいけないのが、追いつかせようと家庭で授業の先取りを詰め込むこと。教室と家の両方で「分からない」が続くと、逃げ場がなくなってしまいます。

先生に相談するときの、責めない伝え方

家で見てもよく分からない、心配が消えないというときは、連絡帳を使って先生に相談を。コツは、責める形にしないことです。情報を共有する姿勢で書くと、先生も様子を教えてくれやすくなります。たとえば、こんな書き方です。

  • 「家では音読を嫌がる様子がありますが、教室ではいかがでしょうか?」
  • 「板書を書き写すのが間に合っていないようです。家でできる工夫があれば教えてください」
  • 「本人が”国語がわからない”と言うことがあり、気になっています。学校での様子を共有いただけると助かります」

どれも、先生を問い詰めるのではなく「一緒に見てほしい」という姿勢です。家と学校が同じ方向を向くだけで、子どもの負担はぐっと軽くなります。

以前、「授業についていけていないみたいで」と相談に来たお母さんがいました。よく聞くと、お子さんは「①聞く」でこぼれていて、先生の一斉指示が重なると固まってしまうタイプ。そこで連絡帳で「指示が重なると分からなくなるようです」と共有したところ、先生がその子にだけ「次は教科書を出してね」と一声添えてくれるようになりました。それだけで、教室での”置いていかれ感”が消えていったのです。

よかれと思って、逆効果になりやすい3つ

追いつかせたい一心で、つい手が伸びてしまう関わりがあります。どれも愛情ゆえですが、かえって子どもを教室から遠ざけてしまうことがあるので、知っておいてください。

ひとつめは、家庭で授業の先取りを詰め込むこと。教室で分からず、家でも難しいことをやらされると、子どもには逃げ場がなくなります。家でやるなら「すでに習って、できるレベル」の復習に絞るのが鉄則です。ふたつめは、きょうだいやお友だちと比べること。「お姉ちゃんはできたよ」「○○くんはもう読めるよ」は、本人のやる気を根こそぎ奪います。比べる相手は、いつも「去年のその子」だけにしてあげてください。みっつめは、できないところばかりに丸をつけて指摘すること。バツの多いプリントは、子どもにとって「自分はダメだ」の通知表になってしまいます。まずは、できた一問にこそ、大きな花マルを。

いつになったら追いつくの?という不安に

「このまま一生ついていけないのでは」という不安も、よく聞きます。でも、小1の国語は1年をかけて、ひらがなから文づくりへとゆっくり進みます。前半で生活に慣れることにエネルギーを使っていた子が、後半になって急に伸びるのは珍しくありません。とくに、夏休みのようなまとまった休みは、自分のペースで一学期の取りこぼしを埋める絶好のチャンス。学校の速さから一度離れて、家でゆっくり「分かる」を積み直せるからです。焦って今すぐ追いつかせようとするより、「この子のペースで、後半に伸びる」と長い目で構えるほうが、結果的に近道になります。

よくある質問

Q. 授業についていけないと、勉強嫌いになりませんか?
A. 「ついていけない」こと自体より、それを叱られたり責められたりすることで嫌いになります。家庭が安心の場で、「分からないと言っていい」「できたところを見てもらえる」と感じられていれば、勉強そのものを嫌いにはなりにくいです。守りたいのは点数より、その子の「やってみよう」という気持ちです。

Q. 家で先取りして、追いつかせたほうがいいですか?
A. おすすめしません。教室で分からず、家でも難しいことをやらされると、逃げ場がなくなります。家でやるなら「すでに習ったところを、できた!と感じられるレベルで」復習するのが効果的。背伸びより、自信の回復を優先してください。

Q. 先生に相談したら、できない子と思われませんか?
A. その逆です。先生は、家庭から早めに様子を共有してもらえると、その子に合わせた声かけがしやすくなります。「できない子」とラベルを貼るためではなく、「この子をどう支えるか」を一緒に考える材料として受け取ってくれます。

Q. 本人は「わかる」と言うのに、テストはできません。
A. 小1の子は、「分からない」と言うのが恥ずかしくて「わかる」と答えることがよくあります。問い詰めず、「どこまではできた?」と”できた部分”から聞いてあげてください。できたところを起点にすると、本人も安心して「ここから先が分からない」と言いやすくなります。

家庭が安心の場なら、子どもは教室に戻っていける

小1で授業についていけないのは、能力の問題ではなく、ペースのズレと、学校に慣れている途中だからです。そして本当に大切なのは、子どもが「わからない」を安心して口にできること。

親にできるのは、教室の速さを変えることではなく、家庭を「その子のペースに戻れる場所」にしておくことです。家で「わかった」「できた」を少しずつ積んでいけば、子どもは自信を取り戻し、自分の足で教室に戻っていきます。今夜はまず、「わからないことがあったら、いつでも言っていいんだよ」と伝えてあげてください。その一言の安心が、つまずきから抜け出すいちばんの力になります。気づいて動こうとしているその時点で、お子さんはもう大丈夫です。

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