小1が「シとツ」「ンとソ」を間違える…カタカナの似た字を覚えさせる声かけ

小学校1年生

「『シ』と『ツ』、『ソ』と『ン』を、しょっちゅう逆に書いてしまう」。カタカナの似た字の混同に、何度教えても直らなくて、困り果てていませんか。消しゴムで何度も直させて、お互いイヤな気持ちになる。そんな場面に、心当たりがあるかもしれません。

解決のカギを、先にお伝えします。「シとツ」「ソとン」の混同は、点や線の「向き」が違うだけなので、見た目をなんとなく覚えようとすると、なかなか直りません。 コツは、「点を打つ向き」と「最後の線の方向」を、お話や手の動きで覚えさせること。一度コツをつかめば、見分けが驚くほどラクになります。なぜ方向が決め手なのか、どう覚えさせるのかを、順番にお話ししますね。

なぜ「シ・ツ」「ソ・ン」を間違えるの?

これらの字は、形そのものはほとんど同じで、点を打つ向きと、最後の線をどちらから書くかしか違いません。この小さな違いを見分けるのは、低学年の子にはとても難しいことです。だから混同するのは、ごくよくあること。能力の問題ではありません。むしろ、大人でも手書きの「シ」と「ツ」が一瞬どっちか分からなくなることがあるくらい、もともと見分けにくい字なのです。

決定的な違いは、実は「書く方向」にある

ここで、見落とされがちな決定的なポイントをお伝えします。「シ」と「ツ」は、できあがった形を見比べるとそっくりですが、書いているときの手の動きはまるで逆向きです。そこを意識しないまま見た目だけ真似ようとすると、どうしても混ざってしまいます。

だからこそ、形を目で覚えさせるより、方向を体で覚えさせるほうが、ずっと近道なのです。大人はつい「よく見て」と言ってしまいますが、子どもにとって必要なのは「よく見る」ことではなく、「どっち向きに動かすか」という手の記憶。指でなぞって、声に出して、方向を体に入れる。これが、似たカタカナを攻略するいちばんの近道です。

「向き」と「お話」で覚える、似た字辞典

向きと方向を、お話や手の動きにして覚えさせていきましょう。混同しやすいペアを、覚え言葉つきで一覧にしました。

混同ペア向きの違い覚え言葉
シ・ツシは点を下から上、線も下から上/ツは上から下「シはニコニコ横に、ツはつららで縦に」
ソ・ンソは最後の線を上から下/ンは下から上「ソはそらから降る、ンはンーと上を向く」
ク・ワクはカクッと折れる/ワは丸くふくらむ「クは折れる、ワはふくらむ」
ノ・ソ・ン線の数と向きで分かれる「ノは1本、ソは点つき下向き、ンは点つき上向き」

まず「シ」と「ツ」。「シ」は、点を下から上へ打って、最後の線も下から上へとはらいます。点が横並びで、「ニッコリ笑った目」のイメージ。いっぽう「ツ」は、点を上から下へ打って、最後の線も上から下へはらいます。点が縦に並んで、「つらら(上から下に落ちる)」のイメージ。「シはニコニコ横に、ツはつららで縦に」と声に出すと、ぐっと覚えやすくなります。

次に「ソ」と「ン」。「ソ」は、最後の線を上から下へ。「そら(上から降ってくる)」のイメージです。「ン」は、最後の線を下から上へとはらいます。「ンー」と上を向くイメージ。向きをジェスチャーで「上から下へ」「下から上へ」と手で示しながら言うと、頭ではなく体で覚えられます。一度にすべてを直そうとせず、お子さんがいちばんよく間違えるペアを、ひと組ずつ攻略していくのがコツです。

おうちでの、楽しい覚え方

紙に書く前に、まず指で大きく、方向を声に出しながらなぞってみてください。「シは、下から上へ」と動きと言葉をセットにすると、混同しにくくなります。机に向かわなくても、お風呂の壁や、子どもの背中に指で書いて「これはニコニコ?つらら?」と当てっこするのも楽しい練習です。

ほかにも、こんな遊びが効きます。「ニコニコしているのはどっちでしょう?」と当てっこクイズにする。「シ」なら「アイス」、「ツ」なら「くつ」のように、好きな言葉の中で書いてみる。大きな紙に正しい字と逆向きの字を並べて書いて、「本物はどっち?」とまるつけをしてもらう。どれも、見分ける目を遊びながら育ててくれます。

間違えたときの返し方も大切です。

ついやりがちな声かけこう言いかえる
「また逆! 何回言ったら」「おしい! これは”ニコニコのシ”かな、”つららのツ”かな?」
消しゴムで何度も直させる指で正しい向きを一緒になぞる
「よく見て書きなさい」「どっち向きに動かすんだっけ?手でやってみよう」

叱られた記憶より、笑って覚えた言葉のほうが、ずっと長く残ります。

以前、「『シ』と『ツ』が、何度直しても逆になる」というお母さんがいました。書き取りで直させるたびにバトルになっていたそうです。そこで鉛筆をいったん置いて、お風呂の壁に「シは下から、ニコニコ」と指でなぞる遊びにしたところ、数日で迷わず書けるように。目で覚えるのではなく、手の動きで覚えたことが、決め手だったのです。

「読んで見分ける」と「書いて区別する」は別の段階

ここでひとつ知っておくと安心なのが、似た字には「読むとき見分けられるか」と「書くとき正しく書き分けられるか」の、2つの段階があるということです。カードを見せて「どっち?」と聞けば当てられるのに、いざ書くと混ざってしまう。これは、見分ける目は育ってきたけれど、書くときに「正しい向き」を手で再現する力が、まだ追いついていないだけです。

だから、まずは覚え言葉で「読んで見分ける」をしっかり固めてから、「書いて区別する」へ進むと、つまずきが少なくなります。書く練習をするときも、いきなり何も見ずに書かせるより、「シは下から、ニコニコ」と覚え言葉を声に出しながら手を動かすと、向きが手に残りやすくなります。読む段階と書く段階を分けて考えると、「読めるのに書き間違える」も、あわてず構えていられます。

いつごろ、迷わず書けるようになる?

「いつまで続くの?」と不安になりますよね。あくまで目安ですが、見通しを持っておくと落ち着けます。点や線の小さな向きの違いを見分ける力は、低学年のあいだに少しずつ育っていきます。1年生のうちは「シとツ」「ソとン」を混同しても、まったく心配いりません。

そして、今この時期に「書く方向で見分ける」経験を積んでおくと、それはカタカナだけの話で終わりません。これから出会う数字やアルファベットにも、似た形のものはたくさんあります(「b」と「d」など)。「形だけでなく、どう動かして書くか」に注目する習慣は、その先の文字学習でもずっと生きてきます。今の「ニコニコのシ、つららのツ」遊びは、目の前の混同を直すだけでなく、見分ける目そのものを育てているのです。

よくある質問

Q. 何度教えても、すぐまた逆になります。覚えが悪いのでしょうか?
A. 覚えが悪いのではなく、形を目で覚えようとしているからかもしれません。「シとツ」は手の動きが逆向きなので、見た目より「どっち向きに書くか」を指でなぞって覚えるほうが定着します。覚え言葉と手の動きをセットにしてみてください。

Q. たくさんの似た字を、一度に教えたほうがいいですか?
A. いいえ、一度に欲ばると混乱します。お子さんがいちばんよく間違えるペアを1組だけ選んでください。それが見分けられるようになってから次へ。ひとつずつのほうが、結局は早く身につきます。

Q. 大人の私も「シ」と「ツ」が一瞬迷います。教えられるか不安です。
A. 大丈夫です。大人でも迷うほど、もともと見分けにくい字なのです。だからこそ「ニコニコのシ、つららのツ」という覚え言葉が役に立ちます。親子で一緒に「どっちだっけ?」と確かめながらで十分。完璧に教えようとしなくて大丈夫です。

Q. 書き取りで何度も練習させても直りません。
A. 書く量を増やすより、向きを体で覚えるほうが効きます。鉛筆を置いて、指で方向をなぞる。お風呂や背中で当てっこする。手の動きが記憶に残ると、書き取りの回数を増やさなくても、自然と迷わなくなっていきます。

無理なく続く、1週間のミニプラン

「毎日きっちり練習」と気負うと、親も子も続きません。ゆるく続けるイメージを持っておくと気がラクです。たとえば、こんな1週間はいかがでしょう。

月曜は、いちばんよく間違えるペア(たとえば「シとツ」)を1組だけ決めて、覚え言葉を一緒に作る。火曜と水曜は、お風呂や寝る前に、その覚え言葉を言いながら指で空中になぞるだけ。木曜は、好きな言葉(「アイス」「シール」など)の中でそっと書いてみる。金曜は、「ニコニコはどっち?」とクイズで確認。週末は、できていたら大きく花まる。できていなくても、また来週ゆっくり、で大丈夫です。

大事なのは、1回を短く、回数を分けること。5分の練習を1回より、30秒の指なぞりを1日に何度かのほうが、ずっと記憶に残ります。机に向かわせようとせず、生活のすき間に「ニコニコのシ」をしのばせる。これが、いちばん長続きするやり方です。

似た字は「向き」と「お話」で覚える

「シとツ」「ソとン」の混同は、点の向きと線の方向が違うだけです。見た目で覚えようとせず、「ニコニコのシ、つららのツ」のように、お話と手の動きで覚えさせていけば、だんだん自分で見分けられるようになります。

何度直しても逆に書いてしまうと、もどかしいですよね。でも、それは小さな向きの違いを見分ける目が、今まさに育っている途中だというだけのこと。間違えても責めず、覚え言葉でクイズにして、楽しくくり返していくうちに、似た字はちゃんとお友達になっていきます。今日は、お子さんがよく混同するペアをひと組だけ選んで、指で方向をなぞりながら、一緒に覚え言葉を作ってみてください。自分で作った言葉ほど、子どもはよく覚えます。あせらず、いきましょうね。

カタカナのつまずき全体を見渡して、ほかの入り口も確かめたいときは、覚えにくい原因と入り口を整理したガイドも読んでみてくださいね。