「国語って、どうやって教えればいいの?」「算数みたいに答えがハッキリしないから、毎回手探りで自信がない」。宿題を横で見ながら、自分の教え方にもやもやしていませんか。よかれと思って口を出すほど、子どもの機嫌が悪くなる気さえして、どう関わればいいのか分からなくなりますよね。
肩の力がふっと抜ける結論からお伝えします。家庭での親の役割は、「上手に教える先生」になることではありません。「安心して挑戦できる空気をつくる、最高のサポーター」になることです。教え方が分からなくても、まったく問題ありません。むしろ、教えようとしすぎないほうが、子どもはのびのび伸びていきます。この記事では、まずあなたが今どんな「関わりモード」になりがちかを一緒に確かめ、そのうえで「教えない教え方」の3つの道具、つまずきの入り口別の支え方、そして完璧に教えられなくても言える魔法のフレーズまでをお話しします。「先生」をいったんやめて、「サポーター」になる関わり方を見ていきましょう。
なぜ親は「先生」にならなくていいのか
学校で1日がんばってきた子にとって、家は安心してホッとできる場所であってほしいもの。でも親が「先生モード」になって採点や指導を始めると、家までが気の抜けない第二の学校になってしまいます。すると子どもは逃げ場をなくし、勉強そのものを嫌がるようになっていきます。
それに、「ちゃんと教えなきゃ」と気負うほど、できないわが子に焦って、つい言葉がきつくなります。教え方が分からないストレスと、できない子へのイライラは、たいていセットでやってくるもの。だからこそ、「教える」を手放すと、子どもだけでなく親自身もぐっとラクになるのです。
役割で考えてみてください。正誤を判定して勉強を体系的に教えるのは、学校の先生の仕事です。一方、家庭の親にしかできないのは、「大丈夫だよ」と安心させ、その子の頑張りを丸ごと認めること。これは先生には代われない、親だけが持っている特権です。教えることはプロに任せて、あなたは「安心」の担当でいいのです。
あなたは今、どの「関わりモード」になっていますか
「教え方が分からない」と悩む親御さんも、実際の関わりを見ると、いくつかのパターンに分かれます。良し悪しの判定ではなく、「いま自分はどこに寄っているかな」と知るための地図として、下の表を眺めてみてください。
| 関わりモード | つい出てしまう行動 | そのとき子どもに起きること |
|---|---|---|
| 先生モード | 横で採点し、間違いをすぐ指摘して教え込む | 家が第二の学校に。緊張して逃げ場がなくなる |
| 監視モード | 「まだ終わらないの?」と見張り、急かす | 見張られる不安で集中が切れ、雑になる |
| 放任モード | 「自分でやって」と任せきりにする | 困っても助けを呼べず、一人で固まってしまう |
| サポーターモード | できた所に光を当て、つまずきにそっと伴走 | 安心して挑戦でき、自分から先へ進む |
ここで大切なのは、自分を責めないことです。疲れている日ほど、人はつい「先生モード」や「監視モード」に寄ってしまうもの。それは親として当たり前の反応です。大事なのは、「あ、今ちょっと先生になってたな」と気づいて、サポーターの席にそっと座り直すこと。完璧に毎日サポーターでいる必要はありません。気づいて戻れれば、それで十分です。
「教えない教え方」3つの道具
では、サポーターモードでは具体的に何をすればいいのでしょうか。難しいテクニックはいりません。この3つの道具さえ持っていれば大丈夫です。
道具①「できた探しメガネ」をかける
いちばん大事なのが、丸つけより「できた探し」をすること。間違いを赤ペンで探すメガネを外して、「この『あ』、すごくきれいに書けてるね」と、できているところに光を当てるメガネにかけ替えてあげてください。できた場所に光が当たると、子どもは自信を持って、自分から先へ進んでいきます。人は、ダメ出しされた所より、ほめられた所を伸ばしたくなるものなのです。
道具②「問い返しの口ぐせ」を持つ
答えが分からないときも、すぐに教えてしまわないこと。「どうしてそう思ったの?」「ママもちょっと分からないなあ、一緒に考えてみよっか」と問い返すのを口ぐせにしてみてください。考える過程に寄り添ってもらえると、子どもは「考えるって楽しい」と感じるようになります。親が答えを知らなくても、いえ、知らないからこそ、一緒に考える仲間になれるのです。
道具③「環境を整える」係になる
そして、勉強を直接教えるより、環境を整えてあげるほうが効くことも多いものです。おやつでお腹を満たす、テレビを消す、消しゴムや鉛筆を先に出しておく。たったそれだけで、机に向かうハードルはぐっと下がります。「教える」より「整える」。これは教え方に自信がなくても、今日からできる立派なサポートです。
「どこを支えるか」は、つまずきの入り口で変わる
同じ「支える」でも、お子さんが文字でつまずいているのか、読解でつまずいているのかで、効く関わりは変わります。つい親がやりがちな「教える」を、「支える」に置き換える早見表を用意しました。
| つまずきの入り口 | つい出る「教える」 | 効く「支える」 |
|---|---|---|
| 文字(ひらがな・漢字) | 何度も書き直させる | きれいに書けた一字に丸をつける。なぞり書きや空書きを用意 |
| 音読 | つっかえるたびに正す | 一文ずつ交代で読む。最後まで読めたら拍手する |
| 読解 | 答えを先に教える | 「どこに書いてあったかな?」と一緒に本文を探す |
| 語彙・作文 | 「ちゃんと書きなさい」と急かす | 話をうんと聞いて、その子が言った言葉を書かせる |
もし、お子さんが文字・音読・読解・書くことのどこでつまずいているのか分からないときは、まず入り口を見つけるところからで大丈夫です。見分け方は、当てはめるだけで分かるつまずきサイン7つのチェックリストや、国語のつまずき全体マップで整理しているので、あわせてのぞいてみてください。入り口さえ見えれば、どの「支える」を選べばいいかも、自然とはっきりしてきます。
比べる相手は、いつも「昨日のその子」だけ
サポーターになるうえで、一つだけ封印してほしい言葉があります。「○○ちゃんはもうできてるよ」という、よその子との比較です。比べられた瞬間、子どもの心は「どうせ自分はダメだ」と閉じてしまいます。比べる相手は、よその子ではなく「昨日のその子」だけにしてください。「昨日より1文字、多く書けたね」。この一言が、子どもにとって最高の励ましになります。
以前、「教えようとするほどケンカになる」と疲れ切ったお母さんがいました。よくよく聞くと、横にぴったり座って一問ごとに丸かバツかを判定する、すっかり先生モードになっていたのです。そこで「採点はいったんやめて、できた所を1つ見つける係に回ってみましょう」とお伝えしたところ、はじめは物足りなさそうにしていたお母さんも、子どもが「見て、ここ上手でしょ」と自分から鉛筆を動かし出したのを見て、肩の力が抜けたそうです。親が判定者をやめてサポーターに回ると、子どもは安心して、自分から前に進み始めます。それでも一人で抱えきれないときは、その子のペースで進めてくれるタブレット教材などに頼るのも、サポーターとしての賢い判断です。
教え方が分からなくても言える「魔法の3フレーズ」
完璧に教えられなくても大丈夫。この3つさえ言えれば、あなたはもう立派な最高のサポーターです。取り組み始めたら「いいね、その調子!」、途中で「ここまでできたね、すごいじゃない」、終わったら「最後までやれたね。よく頑張った!」。正解を教えることよりも、この3つの声かけのほうが、子どもの「またやろう」という気持ちを、何倍も引き出してくれます。
なお、それでもつい採点や指摘に熱が入って、イライラして声を荒げてしまう日もありますよね。その自己嫌悪のほどき方は、教えるとイライラして怒鳴ってしまう親のための処方箋で別にお話ししています。サポーターに徹したいのに難しい、というときは、そちらものぞいてみてください。
よくある質問
Q. 間違いを指摘しないと、間違ったまま覚えてしまいませんか?
A. その心配はよく分かります。でも、すべてを直さなくても大丈夫です。明らかな間違いは、「おしい! ここだけ一緒に見てみよっか」と一つだけそっと拾えば十分。全部を赤ペンで直すと、子どもは「どうせ全部ダメなんだ」と感じてやる気をなくします。気になる間違いが10あっても、今日直すのは1つ、と決めてみてください。
Q. 共働きで、つきっきりで支える時間がありません。
A. サポーターは、ずっと隣にいることではありません。むしろ大事なのは、量より「質の一言」です。できた所を1つ見つけてほめる、終わったら「最後までやれたね」と声をかける。その数十秒があれば十分支えになります。見られない日は環境だけ整えて、「自分で1問やってみてね」と任せる勇気も、立派なサポートです。
Q. つい「先生モード」になって、怒ってしまいます。
A. とても自然なことなので、自分を責めないでください。疲れているほど人は先生モードに寄ります。怒ってしまったあとのフォローや、イライラそのものの減らし方は教えるとイライラして怒鳴ってしまう親のための処方箋にまとめています。気づいてサポーターの席に座り直せたら、それだけで前進です。
Q. サポーターに徹したら、肝心の勉強が進まないのでは?
A. 逆なのです。安心できる関わりのほうが、結果的に勉強は進みます。子どもは「怒られない」「見てもらえる」と感じると、自分から机に向かうようになるからです。詰め込んで一時的にこなすより、「学ぶのは怖くない」という土台を作るほうが、長い目で見て国語の力をしっかり伸ばしていきます。
教え方より「安心」が、国語をいちばん伸ばす
国語の教え方が分からなくても、何ひとつ心配いりません。子どもに必要なのは、完璧に教えてくれる先生ではなく、どんなときも「大丈夫」と信じてくれるサポーターだからです。
丸つけをやめて「できた探し」を。すぐ教えずに「一緒に考えよっか」を。よその子と比べるのをやめて、「昨日のその子」と比べる。抱えすぎたら、迷わず外に頼る。それだけで、お子さんは安心して国語に向かっていけます。今日はまず、間違いを指摘する代わりに、「ここ、上手に書けてるね」と、できているところをひとつ見つけて声に出してあげてください。その小さな一言から、最高のサポーターへの一歩が始まります。気負わず、あなたのままで大丈夫ですよ。
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