「ドリルを買っても、すぐ飽きて続かない」「そもそも机に向かってくれない」。そんなときに頼れるのが、好きなキャラクターや、思わず笑ってしまう仕掛けのある”楽しい系ドリル”です。でも「楽しいだけで、本当に身につくの?」「ふざけてるだけにならない?」と、半信半疑かもしれません。
先に結論をお伝えします。勉強が苦手な子・嫌いな子にとって、楽しい系ドリルの一番の価値は「学習効果」よりも「続けられること・算数を嫌いにならないこと」です。低学年のうちは、難しい問題を解くことより、「ドリル=楽しい」という入り口をつくることのほうが、ずっと大切。その入り口さえできれば、学びは後からついてきます。この記事では、楽しい系の本当の役割を「3段ロケット」で整理し、気になる「うんこドリル」の効果、選び方、そして「笑ってるけど身についてる?」の不安への対処までお話しします。
楽しい系ドリルは「3段ロケット」の1段目
楽しい系ドリルの役割を、私はよく「3段ロケット」にたとえます。家庭学習を軌道に乗せるには、順番があるのです。
- 1段目=入り口:「ドリルって楽しい」と、まず手に取らせる
- 2段目=習慣:毎日「開く」が当たり前になる
- 3段目=定着:少しずつ標準的な内容も身についていく
多くのご家庭が、いきなり3段目(しっかり定着)を目指して、難しめのドリルから入ろうとします。でも、1段目の「楽しい」を飛ばすと、ロケットは打ち上がりません。楽しい系ドリルは、この1段目を担当する大事なエンジンです。机に向かう習慣そのものがない子は、まずここから始めるのが近道です。
低学年で一番避けたいのは、「勉強=つまらない・つらい」と早いうちに刷り込まれてしまうこと。一度そう感じると、その後どんな良い教材を用意しても、手に取ってくれなくなります。楽しい系ドリルは、その入り口のハードルを、ぐっと下げてくれます。
- 好きなキャラがいると、自分から開きたくなる
- 笑える問題だと、「もう1問やりたい」が自然に続く
- 「できた!」が積もって、勉強への苦手意識が少しずつ消えていく
「うんこドリル」は、効果あるの?
結論から言うと、笑って続けられるなら、十分に効果があります。 問題の中身そのものは標準的な学習内容で、特別に薄いわけではありません。例題の文章がユニークなだけで、解く計算や手順は、ふつうのドリルと変わらないのです。
むしろ、「やりたくない」を「やりたい」に変える力こそが、このタイプの最大の効果。どんなに内容が良いドリルでも、開いてもらえなければ学習効果はゼロですから、「自分から開く」というのは、それだけで大きな価値なのです。「ちゃんとしたドリルじゃないと不安」と感じる親御さんもいますが、毎日笑いながら鉛筆を動かしている子と、立派なドリルを前に固まっている子。半年後に算数を好きでいるのは、たいてい前者です。
楽しい系を選ぶときの3つの目安
「楽しい系」といっても種類はさまざま。次の3つを目安にすると、失敗しにくくなります。
- 子どもが好きなキャラ・テーマか(本人が「やりたい」と思うのが一番。親の好みで選ばない)
- 今のレベルに合っているか(楽しくても、難しすぎると結局続きません)
- 1日の量が無理なくこなせるか(薄め・少なめでOK。「もう終わり?」くらいがちょうどいい)
そして使うときは、「勉強しなさい」と言わずに「これ面白そうだね」と一緒に開くこと。できたら大げさに笑って褒め、飽きたら別のキャラに変えても構いません。目的は”続けること”なので、ころころ変わっても気にしなくて大丈夫です。
ごほうびと組み合わせるのも効果的です。たとえば、「楽しい系ドリルを1ページ→好きなことを1つ」のように、習慣のセットにする。「ドリルをやると、いいことがある」という流れができると、勉強そのものへの抵抗がやわらいでいきます。
「笑ってるけど、身についてる?」が心配なときは
ただし、笑いやキャラに夢中で、肝心の中身が頭に入っていない子も、まれにいます。その場合は、丸つけのときに「この問題、もう一回ママに説明してくれる?」と、そっと確認してみてください。自分の言葉で説明できれば、ちゃんと身についています。説明できなければ、その問題だけ一緒にもう一度やればOK。テストのように身構えず、おしゃべりの延長で確かめるのがコツです。
以前、好きなキャラのドリルに大喜びで取り組むのに、答えはなんとなく書いているだけ、という子がいました。親御さんが「これ、どうやってわかったの?」と聞く習慣をつけたところ、子どもは説明しようとして自然ともう一度考えるようになり、いつのまにか中身もしっかり身につくようになったそうです。「楽しい」に「ひとこと確認」を足すだけで、入り口ドリルは定着ドリルに変わります。
2段目・3段目へのバトンタッチ
楽しい系で「机に向かう習慣」がついてきたら、いよいよ次の段へ。とはいえ、急に楽しい系を取り上げる必要はありません。楽しい系を主食にしたまま、標準的なドリルを”おかず”として少しだけ混ぜる。これがスムーズなバトンタッチです。
移行を考えていいサインは、「ドリルを開くのが当たり前になった」「簡単な問題なら嫌がらずに解く」「もっとやりたいと言う日がある」あたり。このサインが出てきたら、楽しい系1ページに標準ドリルを2〜3問だけ足してみてください。楽しい系は”入り口”、定着は”その次の段階”と考えると、気持ちがラクになります。最初から完璧を求めず、まずは「毎日開けたね」を喜んであげましょう。
机に向かうこと自体が苦手な子には、ゲーム感覚で続けられるタブレット教材も相性がいいです。紙のキャラドリルとタブレット、どちらも「楽しいから続く」を狙う仲間。お子さんが乗るほうを選んであげてください。
「一緒にやる」と、楽しい系はもっと続く
楽しい系ドリルの効果を、さらに高める方法があります。それは、「ひとりでやらせない」こと。低学年の子にとって、勉強が続くいちばんの理由は、内容の面白さ以上に「誰かと一緒だと楽しい」だったりします。
たとえば、親が隣で別のことをしながら見守るだけでも、子どもの「やる気」はぐっと変わります。「ママもお仕事(家計簿など)やるから、一緒にがんばろう」と、横並びで取り組むのも効果的。きょうだいがいるなら、「よーいドンでどっちが先にできるかな」と、軽い競争にするのも盛り上がります。お友だちと遊ぶ感覚で、誰かと机を囲む。それだけで、ドリルは「ひとりの作業」から「楽しい時間」に変わります。
逆に、「終わったら呼んでね」とひとりにすると、楽しい系でも続きにくくなります。完璧に付き添う必要はありません。同じ空間で、ときどき「お、いいね」と声をかける。それだけで、お子さんは安心して鉛筆を動かせます。
「ごほうびがないとやらない」を防ぐには
ごほうびは入り口づくりに効きますが、頼りすぎると「ごほうびがないとやらない」になってしまうことがあります。これを防ぐコツは、ごほうびの中身を少しずつ”気持ち”に移していくことです。
最初は「1ページできたら好きなこと1つ」でも構いません。でも続けるうちに、「できたね」と一緒に喜ぶ・ぎゅっとする・できたページを家族に見せるといった、モノではない喜びの割合を増やしていきます。モノのごほうびは「やる理由」になりますが、「できて嬉しい」「ほめられて嬉しい」という気持ちは、勉強そのものを好きにしてくれる燃料です。
そしていちばんのごほうびは、親が心から驚いて喜ぶ顔だったりします。「えっ、もうできたの!?」「すごい、ママより速いかも」。この一言が、シールやお菓子よりずっと、子どもの「もう1回やりたい」を引き出します。ごほうびは少しずつ卒業していくもの、と考えておくと安心です。
紙のキャラドリルと、楽しい学習アプリの違い
最近は、ゲームのように進む学習アプリにも「楽しい系」がたくさんあります。紙のキャラドリルとどう違うのか、迷ったときの目安をお伝えします。
紙のキャラドリルは、鉛筆で書く・1冊やりきる達成感が残るのが強み。書く力もいっしょに育ちます。学習アプリは、音や動きで盛り上げてくれて、自動で丸つけ・レベル調整をしてくれるのが強み。「紙だとどうしても続かない」「丸つけまで手が回らない」という子・ご家庭に向きます。
どちらも目的は同じで、「楽しいから自分から開く」をつくること。書く練習も大事にしたいなら紙、とにかく続ける入り口がほしいならアプリ、くらいの感覚で選んで大丈夫です。両方を気分で使い分けるご家庭もあります。
よくある質問
Q. 楽しい系ばかりで、ちゃんとした勉強に進めるか不安です。
A. 大丈夫です。多くの子は「ドリル=楽しい」が定着すると、自分から少し難しい問題にも手を出すようになります。焦って取り上げると逆戻りすることもあるので、楽しい系を残したまま、標準ドリルを少しずつ混ぜる進め方がおすすめです。
Q. キャラに飽きてしまいました。買い替えるべき?
A. 飽きは悪いことではなく、「次に行ける」サインのこともあります。別のキャラに変えてもいいですし、思いきって標準的なドリルや思考力系に移ってみるのも手。お子さんの「今ハマっているもの」に合わせて、柔軟に変えてあげてください。
Q. ごほうびで釣るのは、よくないのでは?
A. 低学年のうちは、「やったらいいことがある」という小さな動機づけは有効です。大切なのは、ごほうびがモノばかりにならないこと。「一緒に遊ぶ」「ぎゅっと抱きしめる」など、ふれあいのごほうびも混ぜると、勉強そのものへの安心感が育ちます。
Q. うんこドリル以外に、楽しい系はありますか?
A. 人気キャラとのコラボドリル、なぞときやめいろ中心のドリル、シールやごほうびページのついたものなど、たくさんあります。お子さんが今好きなキャラやテーマで探すのがいちばん。本屋さんで一緒に選ぶと、それだけでやる気が上がります。
楽しい系ドリルは「算数好き」への入り口
キャラクターや楽しい系のドリルは、学習効果を直接狙うものというより、「勉強嫌いにさせない」「机に向かう習慣をつくる」ための入り口(3段ロケットの1段目)です。うんこドリルのような人気シリーズも、お子さんが笑って続けられるなら、立派な教材。難しさより「楽しい!」を基準に選んであげてください。ドリル全体のタイプ別比較は親記事小1算数ドリルおすすめ|タイプ別の選び方もどうぞ。
今日は、ドリルを「やりなさい」と置くのではなく、「これ面白そうだから、ママにも問題見せて〜」と、一緒に笑う入り口から誘ってみてください。お子さんが声を出して笑いながら鉛筆を動かしていたら、それはもう、算数を好きになり始めているサインです。

