小1算数の時計「分の読み方」が覚えられない|60進法をやさしく教えるコツ

小学校1年生

短い針(何時)はだいぶ読めるようになったのに、長い針の「分」になると、とたんに固まってしまう。「ここは1って書いてあるのに、なんで5分なの?」。この”ズレ”に、子どもは大混乱します。教えるこちらも、「見たまま読めばいいのに」と、つい焦ってしまいますよね。

先に、いちばん大事なことをお伝えします。「分」が読めないのは、お子さんの覚えが悪いからではありません。 文字盤に書いてある数字(1・2・3…)と、実際の読み方(5分・10分・15分…)がズレている。そのうえ「60で1時間」という、ふだんとは違う数え方が重なる。時計の中でも、ここが一番ややこしい関門なのです。

でも、つまずきをほどく順番さえ分かれば大丈夫。カギは「なぜ1が5分なのか(小さい目盛り)」と「5とびで数える力」の2つです。短い針が読めているなら、土台はもう半分できています。ここからは、その2つを順番にお話しします。

なぜ「分」だけ、こんなに読みにくいの?

長い針の読み方が難しいのには、2つのはっきりした理由があります。

  • 書いてある数字と、読みが違う:文字盤の「1」を長い針が指すと「5分」、「2」なら「10分」。見たままの数字を読めばよかった短い針とは、ルールがまるで違います。
  • 60進法という特殊ルール:1分、2分……60分でやっと1時間。ふだん算数で使う「10のまとまり」とは違う数え方なので、感覚的につかみにくいのです。

短い針は「2に近いから2時」と、見たままで読めました。それと同じ感覚で長い針を見ると、「1なのに5分」が理不尽に感じられて、頭がストップしてしまう。つまり「分」は、”見たまま読めない”という、子どもにとって理屈の通らない関門なのです。読めなくて当たり前、と知っておくだけで、こちらの焦りも少しやわらぎます。

どうして「1」が「5分」になるの?

ここを飛ばして「1は5分って覚えてね」と暗記させると、たいてい忘れます。先に「なぜ5分になるのか」の理屈を、目で見せてあげてください。

時計の文字盤をよく見ると、数字と数字の間に、小さな目盛りが5本ずつありますよね。長い針は、この小さい目盛りを1個進むと「1分」。だから、数字の「1」までには小さい目盛りが5個ある=「5分」になるわけです。「小さいメモリ、1個で1分。数字までに5個あるから5分なんだよ」。こうして”見える形”で理由を示すと、「だから5分なのか!」と腑に落ちます。理屈が分かれば、数字を5倍する仕組みも、自然と受け入れられます。

以前、「なんで1が5分なの」と何度聞いても納得しなかった子が、文字盤の小さい目盛りを一緒に指でなぞって数えた瞬間に、「あ、5個ある!」とパッと表情が変わったことがありました。理由が腑に落ちると、子どもは驚くほどあっさり前に進みます。

土台は「5ずつジャンプ」の数え方

理屈が見えたら、読むための土台づくりです。それが「5、10、15、20……」と5ずつ数えられること。私は子どもに「長い針は、1ずつじゃなくて5ずつジャンプして進むんだよ」と伝えています。このジャンプの数え方が、時計の「分」の土台になります。

これは時計と切り離して、まず遊びの中で身につけるのが近道です。お風呂や車の中で、「ママと5とびで数えてみよう! 5、10、15……」とリズムよく。指を5本ずつ折りながら数えると、体でも覚えられます。歌うように繰り返すうちに、5ずつジャンプがスラスラ出てくるようになります。ここが固まると、時計の「分」は驚くほどラクになります。

文字盤の数字と「本当の分」を、早見表でつかむ

5ずつジャンプが言えるようになったら、いよいよ時計に戻ります。文字盤の数字と「本当の分」の関係を、一度まとめて見せてあげると、仕組みがはっきりします。

長い針が指す数字読む分覚え方
120分(ちょうど)スタート地点
15分5が1回
210分5が2回
315分5が3回
630分(=半)ちょうど半周
945分5が9回
1155分もうすぐ1周

ぜんぶ暗記させる必要はありません。「書いてある数字を5倍すると、本当の分になる」という仕組みが見えれば十分。最初は、長い針が指す場所まで「5、10、15……」と一緒に指でたどって読めばOKです。すぐに暗算できなくて当然。「数えれば必ず読める」という安心感こそ、この段階でいちばん大切にしたいものです。

「7分」「17分」みたいな半端な時刻は、どう読む?

5の倍数までは読めても、「17分」「23分」のような半端な分でまた止まる子は多いです。これは、さっきの「小さい目盛り1個=1分」が効いてくる場面です。

たとえば長い針が「3(=15分)」を少し過ぎているなら、「15分まで5とびで進んで、そのあとは小さいメモリを1、2と足すんだよ」と教えます。「15……16、17」と、近い数字までは5ずつジャンプ、残りは1ずつ歩く。この「5ずつジャンプ+1ずつ歩く」の合わせ技が分かると、どんな時刻も自分の力で読めるようになります。あわてず、まずは5の倍数がスラスラ読めてから進めれば十分です。

デジタルで「分」を先に見せるのもいい

「アナログの分が難しいなら、デジタル時計を見せるのはズルでは?」と心配するお父さん・お母さんもいますが、まったく問題ありません。むしろおすすめです。

デジタルだと「2:15」と、分が数字でそのまま出ます。ズレがないぶん、子どもは「15分」という時刻そのものには親しみやすい。そこで「この15分って、丸い時計だと長い針が3のところなんだよ」と、デジタルとアナログを行き来して見せると、「分」の正体がつかみやすくなります。デジタルで分の感覚を育てつつ、アナログで「針の位置」を重ねる。この二段構えが、遠回りなようでいて確実です。

焦って詰め込むと、かえって遠回りに

ひとつ気をつけたいのが、「分」を一気に完璧にさせようとすること。短針も長針も小目盛りも、と詰め込むと頭がパンクして、時計そのものを嫌いになってしまいます。今日は5ずつジャンプだけ、次は「1のところは5分」だけ、と一度に一つずつで大丈夫です。

そして、覚えたことは生活の中で使うと一気に定着します。「長い針が4にきたら、20分。おやつにしようね」「あと15分でアニメだよ」と、毎日の合図に「分」をそっと混ぜてみてください。本人が「読めると得する」と感じた瞬間に、ぐんと伸びていきます。分の目盛りがはっきり書かれた知育時計があると、このズレが目で見て分かりやすくなります。選び方は時計学習に役立つ知育時計・絵本の選び方で紹介しています。

よくある質問

Q. そもそも5とび(5,10,15…)がまだ言えません。
A. それなら、時計より先に「5とびの数え方」を遊びで固めるのが近道です。時計と切り離して、お風呂や散歩で「5、10、15」とリズム遊びにしてしまいましょう。ここがスラスラ言えるようになってから時計に戻ると、「分」は一気にラクになります。

Q. 5分・10分は読めるのに、17分や23分で止まります。
A. 半端な分は、時計の中でも最後の関門なので、ここで止まるのは自然です。「近い数字まで5ずつジャンプ → 残りは小さいメモリを1ずつ」の合わせ技を、長い針を指でたどりながら一緒に読んであげてください。まずは5の倍数が安定してからで十分です。

Q. 「何分」は何年生で習いますか?読めないと遅れていますか?
A. こまかい「何時何分」は、2年生で習う範囲です。1年生のうちは「何時・何時半」がふんわり分かれば十分で、分が読めなくても遅れではありません。焦らず、土台の5とびから育てていけば大丈夫です。

Q. 短い針(何時)は読めるのに、分だけ苦手です。順番は合っていますか?
A. とても良い順番で進めています。短い針が読めているのは大きな前進。「分」は時計で一番難しいので、最後に時間がかかるのは当然です。むしろ土台ができている証拠なので、安心して進めてください。

「分」は、理由が分かれば必ず読める

「分」が読めないのは、文字盤の数字と読みがズレている+60進法という、時計で一番ややこしい関門だからです。でも、「小さい目盛り1個=1分」「数字までに5個だから5分」という理由が見えて、土台の5ずつジャンプができれば、長い針はちゃんと読めるようになります。

今日「1のところ、なんで5分?」と聞かれたら、それは”理由を知りたい”という伸びるサイン。叱らず、「いいところに気づいたね。小さいメモリ、いっしょに数えてみようか」と、一緒に文字盤をのぞきこんでみてください。その時間そのものが、お子さんの「分」を読む力を、いちばん深く育てています。あなたが隣で一緒に数えてくれること、それが何よりの教材です。

「何時半」のほうで短い針につまずいている場合は「2時半」を「3時」と読む子への教え方へ。時計全体の進め方は、時計が読めないを解決する総まとめにまとめています。