小1が「わ・れ・ね」を間違える…似た字を”言葉”で覚えさせる声かけ

小学校1年生

「『わ』と『ね』をしょっちゅう取り違える」「『れ』と『わ』がいつもごちゃごちゃ」。似た形のひらがなを、何度直しても混同してしまう。そのくり返しに、頭を抱えていませんか。「よく見なさい」と言っても、また同じ間違い。こちらの根気のほうが先に尽きてしまいそうになりますよね。

解決のヒントを、先にお伝えします。似た字の混同は、形を「見た目」だけで覚えようとすると、なかなか直りません。 コツは、形を「言葉やお話」に変えて覚えさせること。子どもは、理屈よりも「お話」で覚えるのが得意です。「ここがこうなっているから○○」と言葉にしてあげると、驚くほどすんなり区別できるようになります。なぜ言葉が効くのか、どのペアをどう覚えさせるのかを、順番にお話ししますね。

なぜ似た字を間違えるの?

「わ・れ・ね」は、最後の部分が、はらうのか、結ぶのか、くるんと回るのか、というところだけが違っていて、あとはそっくりです。この小さな違いを見分ける力(形の弁別)が、まだ育っている途中だと、混同が起きます。これはごく自然な発達段階で、文字を見る目が肥えてくれば、自然と減っていきます。

そしてもうひとつ、知っておいてほしいことがあります。似た字を間違えるのは、むしろ文字をしっかり覚えはじめている証拠でもあるということ。まったく文字に関心がなければ、似ているかどうかにすら気づきません。「似てるな、どっちだっけ」と迷うのは、その子の中で文字の世界が広がってきているサインなのです。

「よく見て覚えて」が効かない理由

大人は「よく見れば違うでしょう」と思いますが、子どもにとっては、そもそもどこを見れば見分けられるのかが分かっていません。「よく見て覚えて」と言うだけでは、注目すべきポイントが伝わらないのです。広い間違い探しの絵を「どこかが違うよ」とだけ言われても、どこを見ればいいか分からないのと同じです。

だからこそ、混同を直すには「見るべき1点」を、こちらが言葉で指し示してあげる必要があります。手順はとてもシンプルです。

  1. そっくりな部分は、いったん横に置く(「上のほうは一緒だね」と認める)
  2. 違う1点だけに注目させる(「でも、最後のところだけ違うよ」)
  3. その1点を、お話や言葉に変える(「ここがくるんと丸まったら『ね』だね」)

この3手順で、「ちゃんと見なさい」と何度くり返しても直らなかった子が、見るべき場所をつかんで、すっと区別できるようになります。

似た字を分ける「あいことば辞典」

形の違いをセリフやお話にしてあげると、子どもの記憶にぐっと残ります。混同しやすいペアを、覚え言葉つきで一覧にしました。お子さんがよく間違えるペアから使ってみてください。

混同しやすいペア見るべき1点あいことば
わ・れ・ね最後の形「ね」はくるんと丸まって”ねんね”/「れ」はぴょんと跳ねて流れる/「わ」はふわっとはらう
は・ほ横棒の数「ほ」は横棒が2本。”ほね(骨)が1本多い”から「ほ」
さ・き横棒の数「き」は横棒2本で”きりんの首みたいに長い”/「さ」は1本ですっきり
ぬ・め最後の輪っか「ぬ」は最後にくるんと輪。”ぬいぐるみのしっぽが回ってる”
る・ろ最後の輪っか「る」は最後に輪っかが残る/「ろ」はまっすぐ止まる
い・り2本目の長さ「り」は2本目が下までのびる/「い」は短い

たとえば「ね」と「れ」で迷う子には、「ねは、ねんねしてるね」と声に出してあげると、笑いながら覚えてくれます。大事なのは、多い・少ない・どこが違うのかを、ひとことの言葉にしてあげること。それだけで、見分けるポイントがはっきりします。

おすすめは、この覚え言葉を、親が一方的に与えるのではなく、親子で一緒に作ること。「ここ、なんて覚えたら忘れない?」と聞いて、お子さん自身が考えた言葉を採用すると、自分で作った言葉ほどよく覚えるので、定着がまるで違います。

遊びにすると、もっと定着する

覚え言葉ができたら、あとは楽しくくり返すだけです。机に向かわなくてもできる遊びを3つ紹介します。

ひとつめは、あいことばクイズ。似た字を2つ並べて「『ねんねしてる』のはどっちでしょう?」と当てっこします。ふたつめは、覚え言葉カード。混同するペアを大きく書き、あいことばを一緒に添えたカードを壁に貼っておきます。みっつめは、似た字神経衰弱。似た字のカードを裏返して並べ、同じ字を当てるゲームにすると、遊びながら自然と形を見分ける目が育ちます。

間違えたときの返し方も大切です。やりがちな声かけを、少し変えてみましょう。

ついやりがちな声かけこう言いかえる
「また間違えた! ちゃんと見て」「おしい! ここが”ねんね”になってないよ」
「何回言ったら覚えるの」「このあいことば、もう一回いっしょに言ってみよう」
「よく似てるんだから集中して」「上は一緒だね。違うのは最後のここだけ」

怒らないことが、いちばん長く続くコツです。間違いは、見分けるポイントを教えてあげる絶好のチャンスだと思って、おおらかに構えていきましょう。

以前、「『わ』と『ね』が、何十回直しても直らない」というお母さんがいました。練習帳で書かせるたびにバトルになっていたそうです。そこで書く練習をやめて、お子さんと一緒に「ねは、ねんね」「れは、れっつごー(跳ねる)」という、その子だけのあいことばを作ってみたところ、次の日からほとんど間違えなくなったのです。何十回の書き取りより、その子が笑って覚えた、たったひとつの言葉のほうが、ずっと強く届いたのでした。

なお、「シ」と「ツ」のようなカタカナの似た字の混同は、また少し別の話になります。カタカナでつまずいているなら、カタカナの「シとツ」を覚えさせる声かけのほうが、お子さんに合っているかもしれません。

「読んで見分ける」と「書いて区別する」は別

ここでひとつ、見落とされがちなことをお伝えします。似た字には「読むとき見分けられるか」と「書くとき正しく区別して書けるか」の、2つの段階があります。カードを見せて「どっち?」と聞けば当てられるのに、いざ書くとなると混ざってしまう。これは、見分ける目は育ってきたけれど、書くときに「違う1点」を手で再現する力が、まだ追いついていないだけです。

だから、まずはあいことばで「読んで見分ける」をしっかり固めてから、「書いて区別する」へ進むと、つまずきが少なくなります。書く練習をするときも、いきなり何も見ずに書かせるより、あいことばを声に出しながら、「ねは、ねんね……だから最後はくるん」と、言葉と手を連動させると、違いが手に残りやすくなります。読む段階と書く段階を分けて考えると、「読めるのに書き間違える」も、あわてず構えていられます。

似た字の混同は、いつごろ減る?

「いつまで続くの?」と不安になりますよね。あくまで目安ですが、見通しを持っておくと落ち着けます。形を見分ける力(弁別)が育つにつれ、似た字の混同は低学年のうちにだんだん減っていくのがふつうです。1年生のあいだは出ても、まったく心配いりません。

むしろ、この時期に「違いを言葉にする」経験をたっぷり積んでおくと、その後のカタカナや漢字の似た字(「シとツ」「未と末」など)でも、「どこが違うかな?」と自分から見比べる習慣が育ちます。今のあいことば遊びは、目の前の「わ・れ・ね」を直すだけでなく、これから先の「見分ける目」そのものを育てているのです。

よくある質問

Q. 似た字の混同は、いつごろ直りますか?
A. 形を見分ける力が育つにつれ、低学年のうちに自然と減っていくことがほとんどです。あいことばで「見るべき1点」を教えてあげると、その時期がぐっと早まります。あせらず、間違えたら覚え言葉で軽く返す、をくり返してあげてください。

Q. 覚え言葉を使っても、すぐ忘れてしまいます。
A. 一度で定着しなくて当たり前です。忘れたら、また同じあいことばを一緒に言えば大丈夫。壁に貼ったカードを見ながら、何度も明るくくり返すうちに、だんだん身についていきます。親が作った言葉より、お子さん自身が考えた言葉のほうが、忘れにくくなります。

Q. たくさんのペアを、一気に覚えさせたほうがいいですか?
A. いいえ、一度に欲ばると混乱します。まずは、お子さんがいちばんよく間違えるペアを1組だけ選んでください。それが区別できるようになってから、次のペアへ。ひとつずつのほうが、結局は早く定着します。

Q. 何度も間違えると、つい叱ってしまいます。
A. 叱りたくなる気持ち、よく分かります。でも、似た字の混同は、文字を覚えはじめている証拠でもあります。叱るより「おしい! ここだけだね」と1点を示すほうが、ずっと早く直ります。間違いは、教えるチャンスだと思って受け止めてあげてください。

似た字は「言葉に変えて」覚える

「わ・れ・ね」のような似た字の混同は、形を見た目だけで覚えようとするから、直りにくいだけです。そっくりな部分はいったん置いて、違う1点だけに注目させ、それをお話や言葉に変えてあげる。この3手順で、子どもはすっと区別できるようになります。

何度直しても混同するわが子に、もどかしさを感じますよね。でも、それは形を見分ける目が、今まさに育っている途中だというだけのこと。「ねんねの“ね”」のように、親子で一緒に覚え言葉を作ってみてください。自分で作った言葉ほど、子どもはよく覚えるものです。今日は、お子さんがよく間違えるペアをひと組だけ選んで、「どこが違うかな?」と一緒にあいことばを考えてみてください。間違えても責めず、クイズにして。そうやって遊ぶうちに、似た字はだんだんお友達になっていきます。

ひらがなのつまずき全体を見渡して、ほかの入り口も確かめたいときは、どこから手をつければいいかを整理した入り口ガイドも読んでみてくださいね。