「計算だけじゃなく、”考える力”も育てたい」。そう思って、思考力ドリルやパズル系の問題集が気になっている方も多いですよね。書店にもずらりと並んでいて、「考える力」「思考力」「パズル」と似た言葉が飛び交っていて、どれが良いのか迷うところです。
先にお伝えします。思考力・パズルタイプのドリルは、「楽しみながら考える習慣」をつくるのにぴったりです。計算ドリルとはまったく違う頭の使い方をするので、「机に向かう=楽しい」という気持ちを育てやすいのも大きな魅力。そして小1のうちは、難しさより”おもしろさ”で選ぶのが正解です。この記事では、思考力ドリルで育つ力、種類ごとの特徴を見分ける早見表、低学年に合う選び方、計算ドリルとのちょうどいいバランス、そしてよくある疑問まで、まるごとお話しします。
思考力・パズルドリルには、どんな効果があるの?
迷路、図形、規則性、簡単な文章題など、「答えが一つに決まらない」「ちょっと頭をひねる」問題を扱うのが思考力系です。計算のような反復とは違い、次のような力を育てます。
- 「どうやって解こう?」と自分で考える力
- うまくいかなくてもあきらめずに試行錯誤する力
- 「解けた!」という達成感と、算数を好きになる気持ち
小1のうちにこの”考える楽しさ”を知っておくと、その後の算数の伸びが大きく変わります。計算が速いことより、「考えるって面白い」と思えることのほうが、長い目で見るとずっと大切な財産になります。
種類で迷ったら「4つの遊びタイプ」で選ぶ
思考力ドリルといっても中身はいろいろで、ここが選びにくさの正体です。そこで、代表的なものを「4つの遊びタイプ」に分けてみました。お子さんがどれに食いつきそうか、思い浮かべながら見てください。
| 遊びタイプ | こんな中身 | 育つ力 | こんな子に |
|---|---|---|---|
| 迷路・点つなぎ | ゴールまでたどる・線を引く | 先を見通す力・運筆 | 鉛筆が苦手な子の入り口に |
| 規則性・仲間分け | 「次に来るのは?」「仲間はどれ?」 | 論理の芽・きまりを見つける力 | クイズ好きな子 |
| 図形・つみき | 形を組む・頭の中で動かす | 空間センス(後の図形の土台) | ブロック遊びが好きな子 |
| まちがい探し・絵くらべ | 細かい違いをさがす | 観察力・集中力 | じっくり見るのが好きな子 |
どれが「正解」ということはありません。お子さんが食いついたものが、その子にいま必要な遊び。いくつか試して、夢中になるタイプを見つけてあげてください。1冊にいろいろな種類が入った「混合タイプ」から始めて、好みを探るのもおすすめです。
低学年の子に合う、選び方のコツ
タイプの当たりがついたら、次の3つを目安に選ぶと失敗しません。
- 子どもの興味に合うか(迷路好き、図形好き、なぞなぞ好き。本人がワクワクするテーマを)
- 難しすぎないか(「ちょっと考えれば解ける」レベルがベスト。解けない問題ばかりだと逆効果)
- イラストが多く、楽しい作りか(低学年は”見た目の楽しさ”が継続のカギ)
ポイントは、「勉強」というより「遊び」として渡すこと。「これ、おもしろそうなパズルだよ」と差し出すと、子どもは自分から手を伸ばします。「やりなさい」と置かれたドリルと、「面白そう」と差し出されたパズル。同じ1冊でも、子どもの食いつきはまるで変わります。
計算ドリルと、どれくらいの割合で?
思考力ドリルは、毎日きっちりやらせる必要はありません。むしろ、計算ドリルの合間に、おやつのように1問くらいの気軽さがちょうどいいです。私はこれを「おやつ1問ルール」と呼んでいます。主食が計算ドリルなら、思考力ドリルはおやつ。毎日でなくていいし、ちょっとで満足、が健康的なバランスです。
「平日は計算を1ページ、週末に思考力を1〜2問」くらいの割合でも、考える力は十分に育ちます。大事なのは量より、「楽しかった」という記憶が残ること。飽きてきたら、無理に続けず別のタイプに変えてOK。そして、できれば親も隣で一緒に悩んであげてください。「ママもわからないな、どうしよう?」と一緒に考える時間そのものが、子どもにとっては最高に楽しい学びになります。答えを教える人ではなく、一緒に悩む仲間でいるのが、思考力を伸ばすいちばんのコツです。
以前、迷路だけは目を輝かせてやるのに、ほかの問題は見向きもしない子がいました。親御さんは「迷路ばかりで意味あるのかな」と心配されていましたが、迷路を入り口に「考えるって楽しい」を覚えたその子は、半年後には規則性のパズルにも自分から手を出すようになったそうです。ひとつ夢中になれるものがあれば、そこから世界は広がっていきます。
すぐテストの点に出なくても、あせらないで
思考力ドリルを続けていると、「やってるのに、テストの点が上がらない」と不安になることがあります。これは、思考力系のいちばん誤解されやすいところです。
思考力ドリルが育てるのは、計算の速さや暗記のような「すぐ点数に出る力」ではなく、「自分で考えて、試して、あきらめない」という土台の力です。この力は、テストの点という形ではなく、もっとあとになって、「初めて見る問題でも、とりあえず手が動く」「難しい文章題でも投げ出さない」といった形で効いてきます。芽が出るまでに、少し時間がかかるのです。
ですから、思考力ドリルは「点数を上げる道具」ではなく、「算数を好きでいるための栄養」くらいに考えてあげてください。すぐに結果を求めず、「今日も楽しそうに考えてたな」で十分。その積み重ねが、目に見えない地力になっていきます。
つい親がやりがちな、3つのもったいない関わり
よかれと思ってやってしまいがちな、思考力ドリルでの関わりも知っておくと安心です。
ひとつめは、すぐに答えやヒントを出してしまうこと。考える時間こそが栄養なので、ぐっと待つのがコツです。ふたつめは、「もっと難しいのを」と背伸びさせること。解けない問題ばかりだと、考える楽しさより「できない」が残ります。みっつめは、正解だけをほめること。「合ってた」より「ここまでよく考えたね」と過程をほめるほうが、次も粘れる子になります。
ドリルだけじゃない。考える力は「遊び」でも育つ
思考力ドリルはとても便利ですが、「考える力」を育てる方法は、ドリルだけではありません。むしろ低学年は、遊びの中で育つ部分が大きいもの。ドリルが続かない子も、こちらなら夢中になることがよくあります。
たとえば、ボードゲームやカードゲーム。「どう動けば勝てるか」を考える時間は、立派な思考トレーニングです。ブロックや積み木は、図形センスと試行錯誤の力を育てます。折り紙も、手順を読み取り、形を頭で動かす、すぐれた教材。そして、日常の「なんでだろう?」を一緒に考えることも、何よりの思考力遊びです。
ドリルとこうした遊びを組み合わせると、考える力は無理なく広がります。「机のドリルは1問だけ、あとは一緒にゲーム」くらいのバランスでも十分。大事なのは”考えるのが楽しい”という記憶を増やすことなので、形はドリルでも遊びでも構いません。お子さんがいちばん夢中になれる入り口を選んであげてください。
「苦手克服」が目的なら、別の選び方を
ひとつ大切な区別を。この記事は「考える力を”楽しく伸ばす”」ための思考力・パズルドリルの話です。もし「文章題が苦手で、その克服のために選びたい」なら、選ぶ基準がまったく変わります。つまずきの原因(場面をイメージできないのか、立式でつまずくのか)に合わせて選ぶ必要があるので、文章問題ドリルおすすめ|苦手克服に効く問題集の選び方を参考にしてください。逆に、もっと難しい問題に挑戦させたいならハイレベル・先取りドリルおすすめへ。
よくある質問
Q. 思考力ドリルは、いつから始めればいいですか?
A. 「ちょっと考えれば解ける」ものなら、入学前後からでも大丈夫です。文字や数がまだあやしい時期は、迷路やまちがい探しなど、読まなくても楽しめるタイプから。文字が読めるようになってきたら、なぞなぞや簡単な文章のパズルへ広げていくと無理がありません。
Q. 計算は得意なのに、思考力問題だと固まってしまいます。
A. よくあることなので、心配いりません。計算は「決まった手順をたどる」のに対し、思考力問題は「自分で道を探す」ので、頭の使い方が別物だからです。最初は親が一緒に「どこから考えようか」と声をかけ、少しずつ自分で試す時間を増やしてあげてください。
Q. 答えを教えてしまっていいですか?
A. すぐに答えを言うより、「ここまでは合ってるよ」「もう一回ここ見てみる?」とヒントを小出しにするのがおすすめです。自分でたどり着いた「解けた!」が、考える力をいちばん伸ばします。どうしても進まないときだけ、一緒に解いてOKです。
Q. ドリルではなく、パズルやボードゲームでも代わりになりますか?
A. なります。むしろ低学年は、市販のパズルやボードゲームのほうが夢中になることも多いです。大事なのは「考えて試す」経験なので、形は問いません。ドリルにこだわらず、遊びの中で考える機会をたくさん作ってあげてください。
思考力ドリルは「楽しく考える」が目的
文章題・思考力ドリルは、計算とは違う「自分で考える力」を、遊び感覚で育てられるのが魅力です。大切なのは、難しさで選ぶより、お子さんが「おもしろい!」と感じて続けられるものを選ぶこと。そして、正解より「考えた過程」を認めてあげること。それが、算数を好きになる一番の近道です。ドリル全体のタイプ別比較は親記事小1算数ドリルおすすめ|タイプ別の選び方もどうぞ。
今日は、計算ドリルの合間に、迷路やなぞなぞを1問、「これ一緒に解いてみようか。どっちが先にできるかな?」と、勝負ごっこのように誘ってみてください。眉間にしわを寄せて「うーん」と考えこむ顔と、解けたときの「できた!」のはじけた笑顔。その両方が、考える力が育っているたしかな証拠です。
