前々から読みたかった立川談慶師匠の本。
「五感はすべて受信する機能」という一言にハッとさせられました。
受け方を育てることも教育の大事な側面ですね。
「人たらし」になるために実践してきたことがまとめられた本
筆者が長きにわたる前座時代に実践されていたり、先達の落語家が実践してきたりした「気づかい」について書かれた本。
実践的な方法はもちろん、なぜ「気づかい」が大切か、というあり方の部分まで書かれています。
師匠の本は以前読んだことがありました。
って、ブログに残ってましたね。
立川談慶「落語家直伝 うまい!授業のつくりかた」コミュニケーションは落語で学べ – 小中学生の親子が知りたいとっておきの勉強法
「気」と「気づかい」
人は「気」で動きます。(中略)そんな見えない「気」をうまく差配し、操る「気づかい」を第一に問われるのが前座修行なのです。
(本書PP32-33より引用)
本書にも出てきますが、確かに「気」のつく言葉は世の中たくさんあります。
また、そして「~のような気がする」みたいな言い回しもたくさんあります。
「気づかい」とはまさに「気」を「つか」いこなすことか、と納得。
気づかいとは、非常に細やかなるものです。(中略)そのためには気づかいは足していくのではなく、かけていくことが必要です。単純に足していくだけでは、大きな結果にはつながらないでしょう。
(本書PP82-83より引用)
何事も小さいことの積み重ねなのだ、と納得。
「コツコツに勝るものはなし」
「受け手」の力が大切になる現代
「五感」の話題に触れられていたのがなかなか興味深かったです。
情報発信の時代で、誰もが物書きにもなれるし、テレビ局にもなれる時代。
特にスマホが発達した今、「視覚」が奪われがちです。
視覚に限らず、ややもするとただでさえ受け身の状態で知りたいことは何でも入ってきます。
だからこそ、受け手が情報をしっかり受け取れる、考える余地がある、ということがとても大切ですね。
そう考えると、きちんとした受容体を育てることが教育の使命かもしれません。
- 受けた情報が本当に正しいのか吟味すること
- 受けた情報に対して適切なレスポンスをすること
- 相手のオーダーに対して要求されている以上の成果で伝えること
ただ教科書の知識を教えるだけでなく、いかに使うか、を子供に伝えていかないといけないな、と改めて感じました。
まとめ
最近、自分は本書でいうところの「メタ認知」が苦手。
- 初対面の人とあまり話をするのは得意でない
- 人の気持ちを考えない言動が絶えない
そんな自分には必要だった本。
この年齢になって「人の気持ちになって行動せよ」と言われるとは、自分の幼さにあきれてしまいますが、でも今出会えたことには意味があったのかもしれません。
また裏を返すと、どんな風に受け止めてくれたらどう感じるか、が自分にはよくわかっているのならば、受け手を育てる、という大事な仕事をしている、と改めて自分のやっていることに気づかされました。
ありがとうございました。