広い視野を持つことが今の中高生に大切だし、いろんな可能性を見つけることもできる。
そんなことを強く感じた本でした。
夏休み中に、弾丸旅行に行くときのお供に何かいい本はないかしら、と本屋さんにふらっと入ったときに思わずジャケ買い。
中学生向けの本ではありますが、大人でも「ほー、なるほど」の連発。
また非常に読みやすいのがいいですね。
語り掛け口調で具体例が豊富
そもそも中学生への特別講義がベースとなっているせいでしょうか、全体を通じて語り掛け口調で書かれています。
また中学生が理解しやすいような具体的な例示が多く、納得しやすいのがいいですね。
例えば数十年前まで、駅の改札には「きっぷ切り」と呼ばれる駅員さんたちが立っていた。
(中略)
この面倒な作業もすべて「自動改札機」が代行してくれるようになった。
(中略)
ここから、きみたちのなかには「駅員さんたちも、面倒な仕事から解放されてよかったな」と思う人もいるかもしれない。
でも、これは「機械に仕事を奪われた」ということでもあるのだ(本書P15-16より引用)
テーマが明確
本書は「ミライ」の世界を担う中学生に対して、先人たちがどのように道を切り開き、そしてそのことからどんな教訓を得られるのかということをまとめた本。
様々なジャンルの偉人たちの話が、5つのテーマに収れんされています。
こうして偉人伝のような具体的な話に終始するのではなく、大きなテーマにまとまって話が進んでいるのは大変読みやすく感じるポイントかもしれません。
教科書でもおなじみの、いわゆる「偉人」たちの功績だけではなく、失敗談や意外なエピソードから、教訓を引き出しているのも特徴ですね。
多くの話の中で、印象に残ったエピソードを上げるとしたら、ナイチンゲールの話でしょうか。
まとめ
今まで、あまり偉人伝を読んでいなかったことに気づきました。
単に興味がなかっただけ、かとは思うのですが。
本書は多くの偉人のエピソードが載っていますが、単なる偉人伝にとどまらず、意外と知られていないことの紹介や彼らから何を教訓とできるのか、というところを主眼においている点で、わたくしでもためになります。
そして、単に教科書を通り一遍勉強するだけでなく、その裏に隠された本質や自分が必ずしも興味を持っていないことでも知ることもまた大切だと気づかされます。
2015年、わたしは全国の中学校を飛び回った。
(中略)
目的はひとつ、未来に生きる14歳のきみたちに特別講義を届けるためだ。
(中略)
本書は、この講義のエッセンスを凝縮した一冊である。未来を生きるきみたちに向けた、未来を変える特別講義だ。(本書P19-20 より引用)
14歳と言わず中学生以上なら読める、大変読みやすい本です。
260ページくらいありますが、わたくしが熟読しても1時間程度で読めてしまいます。
もちろん全体を通じた話ではなく、1テーマ、あるいは誰かひとりを取り上げて自分の意見を展開しても立派な読書感想文になります。
まだ読書感想文がかけていない中学生はぜひ課題書に使ってください。